マグナムアルカトラズ開発ストーリー その3

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この2つのプロトタイプの違いは、
見ての通り、リップ形状とリップの長さ。
一見すると、左は幅が広くてまっすぐで、
右は幅が狭くて付け根でちょっと折れ曲がってる。
結論から言うと、
製品版に採用したのは、
右のほうなのです。
泳ぎだし、巻き始めの潜行角度、巻き抵抗を
総合すると、右のほうが安定していて、
使っていて心地いいから。
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横から見ると、リップが真っすぐなのと、
折れ曲がっているのがよくわかります。
これって、ただそれだけのことって思われると思いますが、
ハンドメイドルアービルダーにとっては、
大きなことなのです。
世の中にあるハンドメイドのクランクベイトで
リップにサーキットボードを採用してるものは
沢山あり、その加工のしやすさと強度から
昔のポリカリップよりも今は主流になっているのではないでしょうか。
僕もハンドメイドのアルカトラズやフラッシュファルコンなど
ハンドメイドモデルにはサーキットボードを使用しています。
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ボディから水平方向に少し出てから角度をつけるものと、
ボディからそのまま角度をつけて真っすぐに出る形状とでは、
色々と動きに違いは出てくるわけですが、
ハンドメイドルアーでは、水平に少し出してから角度をつけるリップは
難しい(作れないわけではないが・・・・)
ABS樹脂でルアーを作ることのメリットとして、
クリアーなカラーが作れるとか、製品の均一化が出来るとか、
量産出来るとか色々と言われています。
確かに、上記のメリットはあります。
けれども、これらは物凄く表面的な意見で、
ルアー作りをしたことのない人でも、
ウッドや発砲素材とプラスティック製の違いとして
話せることなのです。
ウッド製にはもちろんクリアーカラーは出来ないし、
浮力のムラもある、手作りに工業製品レベルの量産なんて
出来ない。
そんなことは、何の経験もなくても話せることなわけです。
ハンドメイドで色々とルアー作りしてきて、
アルカトラズを金型製作してABS樹脂モデル化するにあたって
ハンドメイドとは違う点が数多くあることに気付かされました。
そして、マグナムアルカトラズでも、求める動きに、理想の動きに近づけるための
試行錯誤を繰り返す中で、ハンドメイドでは出来ないリップ形状で
ルアーデザイン、設計が出来ることにより、可能性の幅が広がりました!
このリップ形状を安定して作れることがこのマグナムアルカトラズにとっては
ABS樹脂モデルの大きなメリットです。
そして、1日巻き続けてもらえる引き抵抗を実現できたのも
このリップ形状なのです。
この形状でのプロトタイプでは、
水谷くんも野池テストで数多くのビッグバスを手にしています。
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ボディデザインとリップ形状がピタッときた瞬間、
ルアーに命が宿る感じがします。
内部構造(ウエイト設計)にはまだ未完成な感があり、
ここから1g単位の調整が始まっていくのですが、
その話は次回で!

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