今まで、何度か書いた事もあるけれど、
+ROOMS’ルアーデザインの根底にある僕の考え方
「ウォータースクラッチ理論」
5年ほど前、あるサイトに掲載頂いたコラムを
ご覧いただけた方もいらっしゃると思いますが、
ブログでも綴りたいと思います!
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水をスクラッチするって??
水を引っ掻くって??どういう事なのかというと、
人間には聞こえないし、見えないので、言葉で表現しづらいのですが、
水と水を意図的に擦れさせることです。
水中の生き物は大小に関係なく動く時に少なからず当然、水を動かしてます。
しかも、生き物達は複雑な形状変化を水に与えています。
バスはその水の動きを感じて生活している。
その水の動きを人間で言うと「音」として感じているのではないかと。
水の中を人間に置き換えてみると、昼間の外の雑音みたいな感じで、色んな音が混在しています。
僕達人間も、色々な音を聞き分け生活してますよね。
例えば、バイクの音と車の音を聞き分けられたり、
マンションに住んでる方なら、友達や彼女と全く知らない人の足音を聞き分けられたり。
普段意識してなくても色んな音の中で必要な音と不必要な音をちゃんと聞き分けて生活しているのです。
だから一般的にバス釣りで言われる水の「波動」を、僕は人間に置き換えると「音」として考えています。
人間にとってはラトル入りのルアーが出すカタカタやコトコト、
シャラシャラといった音のほうが、
しっかりとした音が鳴っている気がしますけど、
実は人間が思うほどいつでも、どこでも「音」として魚には効いていない。
なぜかというと、人間から見た「波動」がバスにとっての「音」と考えると、
人間から見た「音」=バスから見た「音」とはならないのです。
それでは、水中は「音」だらけでうるさいでしょう。
それで、僕は、ルアーのラトル音は「振動」として考えています。
誤解を恐れずに極端な例を出すと、地震を想像してみてください。
地震の揺れは誰でも経験あると思います。大きな揺れと小さな揺れを体で感じ取りますよね。
人間も子供の頃から地震を経験して体が自然と揺れを覚えていきます。
ルアーのラトル音は「振動」なので、
地震に例えると、大きな揺れと小さな揺れはあるものの、
経験していくとその振動をバスは自然と体で記憶できるのです。
人間が自然と地震の振動を覚えるのと同じように。
ただ、人間でも地震にびっくりするのと同じように、
バスも振動に対して経験していても
反射的に反応してしまう時が当然あります。
ラトルのあるルアーが効くシチュエーションはもちろんあるのです。
これがバス釣りにおいてのルアー選びの楽しさではないでしょうか。
少し話がそれましたが、ルアーのボディ内部から出る音よりも
水自体の形状変化のほうがバスは「音」として認識していて、
液体の水の動きはバスにとって記憶しづらいものの様に思います。
この様に考えると、ルアーを泳がせて水を動かしていく中で、
水と水が複雑に擦れあう(絡み合う)空間を造り出すことがとても重要なのです。
つまり、一定の狭い範囲内で複雑に水が擦れあうことは、
生き物が水中を動く時に作る水の形状変化に近いものなので、
自然界で日常茶飯事に起こっていることと考えられるのです。
と言うことは、
水を擦れさせる水流を作り出せば、
自然界に馴染む水の動きであり、
バスにとっては記憶しづらい水の空間を生み出すことになります。
この複雑な水の動きと、その空間を作り出すことを
僕は、「ウォータースクラッチ」と呼んでいます。
ハイプレッシャーで賢くなったバスを相手にするには、
ルアーの動きも当然重要ですが、
ルアーの存在する空間を自然界に馴染ませることの方が大切に思います。