「魚っぽいルアーを作らない理由」その2

先月末に“僕が「魚っぽいルアーを作らない」理由”を書きましたけど、色々と賛否両論の反応をいただきました。。。
まず、、、誤解のないように補足しなければならないことがあります。。。
僕自身、魚をモチーフにした所謂「魚っぽいルアー」は使います。
DVC00129.jpg
ガンクラフト社「ジョインテッドクロー178」
説明不要の元祖S字系ビッグベイトです。。。
「魚っぽいルアー」の中で、僕が最も使うルアーで、釣行の際は写真の4本は必ずタックルボックスに入ってます。
「ジィクロ178」は明らかに魚、「鮎」を模してデザインされているルアーで、前に書いた「バスはルアーと本物の魚を見間違えるわけが無い」っていう理論からすると使わないルアーになってしまいそうですが、そうじゃないんです。
「ジョイクロ改148」は別なのですが、「ジェイクロ178」に関しては、他に代用できるルアーが存在しない。
このルアーに関しては、魚っぽいかどうかよりもルアーの持つチカラが異常に大きいので使います。
僕自身ルアービルダーであると同時に1人の釣り人なので、状況にあわせてルアーも選ぶし、釣りたいルアーを使うこともあります。
ただ、ルアーデザイナーとして、どのような考え方でデザインしているのかを文章化するとこの前のブログのようになる。だから、「魚っぽいルアー」を使うこともあるけど、自分ではデザインしないってことなんです。
バスの好奇心を掻き立てる何かを備えたルアーを作る事が、僕のデザインの中では大きなウエイトを占めていて、魚っぽくデザインするよりも遥かにバスを引き付けるデザインがあると思うんです。。。。
「アルカトラズ」のリリースのときに、このブログで、ウォータースクラッチ理論というのを書きましたが、ルアーの周りにある水をコントロールすることでバスの反応は変わる。
「アルカトラズ」は魚からはほど遠い見た目ですが、バスが釣れる。魚っぽいルアーが良いときもあるけど、そうじゃない場合も多々あることの証明だと思います。
今の僕の考えでは、ルアー自体の見た目よりも、その周りにある水をどれだけ自然界に馴染むものにするのか?が重要なんです。
ルアーは自然界には存在しないものなので、バスは生き物ではない=餌ではないと見切ります。けど、そのルアーの周りを自然界に存在しうる水の動きで覆うことで、まったく見た目も質感も生きていないルアーにバイトを誘うことができる。
その水の動き次第で、バイトの確率を上げていけると思うんです。
しかも、ルアーは固体、水は液体。
形状変化の可能なのは、液体の水。
人間も同じですが、バスも記憶できる生き物なので、形状の変化しないものは記憶しやすいんです。だからプラグは記憶されてしまう。形状が比較的変わりやすいストレート系のワームが釣れやすいのはバスが形状を記憶しにくいためだと思います。
そのストレート系のワームですら、賢いバスは完全に記憶できてしまうんですよね。
そこで、液体である水なんです。
バスにとっての水は、人間にとってみれば空気みたいなものだと思います。無いと生きていけないけど、その存在を感じることは少ない。人間でも空気の形状なんて記憶できませんよね。バスも同じで水の形状は記憶できないと思います。
ルアーが動くことによってできる水の動きを制御すれば、記憶されないバスの興味を引く空間を作り出すことができるんじゃないかと考えるわけです。
5年後も10年後も20年後も釣れるルアーを目指して、ルアー自体よりも、そのルアーが水の中で作り出す空間を作っていければと思います。
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